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2017年02月号子どもと向き合う

子どもの気持ち

どんな子にも
必要なのは
自分のことを
受け容れてくれる
人とのつながりです

人とのつながりを失い、社会的に孤立してしまう子どもたち。
その背景にあるものは何でしょうか?
居場所がなく困難な状況にある女子高生たちをサポートする、一般社団法人「Co l a bo」代表理事の仁藤夢乃さんにお話を伺いました。


C o l a b oで関わるのはどのような少女たちでしょうか

  私たちは主に、性暴力や虐待などの被害に遭い、社会的に孤立して困難な状況にある少女たちの自立を目指す活動をしています。街には行き場がなくさまよう女の子がたくさんいて、売春、リストカット、DV、薬物中毒などを繰り返し、裏社会へ取り込まれてしまうケースが後を絶ちません。彼女たちの多くは事情を抱えています。親から暴力を受けている子、貧困家庭で文化祭のTシャツを買うお金もない子、裕福だけど成績でしか評価されなくて苦しんでいる子、いじめられているのに大人に見て見ぬふりをされてきた子――。大人に傷つけられ、頼れる人も居場所も失い、精神的にも、生活も困窮する彼女たちに手を差し出すのは、弱みにつけこむ大人ばかりです。
「お金ほしさ」や「感覚がおかしい」からではない、少女たちが危険な行為や違法行為におよぶ背景には、そうせざるを得ない事情と、彼女たちを利用しようとする大人たちの存在があるのです。
 

子どもはどのような親との関わり方を求めているのでしょうか

  一つは、子どもとちゃんと向きあってあげることだと思います。「あなたのためだから」「子どもにはまだ決められない」などと親の価値観や考えを子どもに押し付けるのではなく、子どもが小さいうちから、その子の気持ちや考え、選択を、一人の人間として尊重してあげることがとても大切です。もう一つは、子どもが相談できる親子関係を築いておくこと。日常の中で、子どもの話に耳を傾けたり、一緒に考えたりして、信頼関係を積み重ねていくことです。また、子どもが問題を起こした時や問題に巻き込まれた時、親が「なんでそんなことをしたの!」と感情をぶつけてしまうと、子どもは次から相談できなくなります。相談相手がなく孤立してしまうのが、子
どもにとって一番辛く、危険なこと。叱る前に、まずは「話してくれてありがとう」と子どもを受けとめてあげましょう。
 私は、どんな子にも必要なのは、自分を受け容れてくれる人との関係性だと思うのです。困難があっても、人とのつながりがあれば生きていけるから。大人たちには「うちの子は大丈夫」「子どもに問題がある」と見過ごしてしまわないで、寂しい思いをしている子どもに気づいてあげてほしい。「寒いね!」「遊びにきてね」と声をかけるだけでも、気づいてくれてるんだって感じることができて、子どもはすごくうれしいんですよ。
 

ママたちにエールをお願いします

  孤立している子たちのママも、孤立していることが多いです。大人だから、母親だから自立しなくちゃと、助けを求めずに一人で耐えようとしている。でも、自立とはたった一人で立つことではなく、いろんな人たちとの関係性の中で生きることです。「こんな小さいことで」「私は甘えているのかも」と思った時こそ、行政の窓口でも近所の人でも、誰かに相談してほしい。ママが人と関わりながら生きる姿を見せることで、子どもも、孤立しないで人とつながりながら生きる術を学ぶことができますよ。みんなで支え合いながら子育てをして、すべてのママと子どもたちが笑顔で過ごせることを、心から願っています。


仁藤 夢乃 さん
一般社団法人「Colabo」代表理事。中高時代は街で過ごし、路上で寝ていたことも。高校中退後、牧師・講師の阿蘇敏文氏との出会いを機に社会活動を始め、2009年明治学院大学社会学部に進学。在学中から高校生を対象に活動を始め「すべての少女に衣食住と関係性をもたせること」を目指し、困難な状況にある女子高生への物資・食事・宿泊支援、自立支援、街の夜間巡回、大人向けの啓発事業などに取り組む。2016年「私たちは『買われた』展」を開催。

「難民高校生―絶望社会を生き抜く
『私たち』のリアル」(英治出版)

「高校時代、私は渋谷で月25日を過ごす“難民高校生”だった。」学校にも家にも居場所をなくし、社会的に孤立した生活を送っていた著者が、出会いをきっかけに居場所を取り戻していく過程を描く。子どもの気持ちを知ることができる本。
一般社団法人「Colabo」
http://www.colabo-official.net/
 

 
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